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3月

2010

2010. 3. 29 インターナルマーケティング番外編

社内へのメッセージ発信

長いあいだ医療用医薬品のマーケティングを続けていると、当然と思ってマヒしてくることがいくつかあります。現場を少しだけ離れてみて、あらためて「あー、これってやっぱりおかしかったんだよなぁ」と感じる場面を体験するのですが、そのひとつに「マーケターの発信するメッセージ」があります。

医薬品では、社外の顧客へ発信するメッセージは、プロモーションコードを始めとする種々のルールによって、かなり厳しく「取り締まり」を受けています。マーケターが工夫した表現も、市場調査のメッセージテストで高評価を得たフレーズも、とりわけ気の効いたもの、つまりお客さんのハートに刺さりそうなもの、刺さらずとも機微に触れるような「作品」は、概ね社内の「検閲」によってはねられてしまう場合が多いことは、体験者の会(?)でもつくって愚痴を言いだせば山のようにあることに気付くでしょう。

ここで問題は、パブロフの犬では無いのですが、マーケターがこうした「苦い経験」を繰り返したり、先輩・同僚から「ありがたい指導」を受けて育つうちに、そもそも、自分の発するメッセージを工夫しよう、独創的にどうにかしよう、という発想を全く止めてしまうことだろうとで思います。

クスリの効能や安全性に関しては確かに思いつきの気の効いたセリフが必要ではありませんし、作るべきとは全く思いませんが、本来、何かを「売ろう」とするマーケターにとって、そのようなブレインワーク自体を、もしも封印するような事があれば、ちょっともったいない気がします。
それが直接的な影響となってあらわれるのは、マーケターから社内関係部署へのメッセージ発信の場でしょう。特に営業現場は、マーケターにとって一種の社内顧客ですから、メッセージが過不足無く伝わるように配慮しなくてはなりません。

マーケターが自分の製品、サービス、施策をどうやって社内顧客に「買ってもらう」かは、大きな課題です。実際、社内でも、他の製品のプロダクトマネージャーが出す施策よりも、営業ラインが「やってみたくなる」魅力的な施策に仕上げることは裁量の範囲であるはずです。
社風によっても差はあるでしょうが、プロダクトマネージャーとしてはできるだけ社内顧客、特にMRやラインのマネージャーを意識して受け入れられやすい施策を出すことが実行可能性を高めます。

戦略は、実行部分を視野に入れて実行までを担保できるプランでなければならない、という原則がある通りです。

一つのヒントは、施策をつくった際には、それを出す前に社内でも、研修部や医薬情報部などのマーケティングに近いようでやや遠い部署に非公式に意見を聞くことが考えられます。テストマーケティングですね。こうして施策の説明やメッセージ自体が判り易いかどうかを、率直に尋ねることをやってみましょう。もちろん、営業に(中立的で)感度の良い仲間がいれば、そういったヒトに頼むことも良いでしょう。

もう一つのヒントは、施策の中身だけでなく、タイトルやキャッチコピーにも力を入れることです。
コピーの書き方に関する本は(もちろん消費者向けのコピーですが)種々出ていますので、2~3冊ほどを手にとってみて、それらを参考にMRのハートに刺さるタイトルを、自分で何本も書いてみることをお勧めします。机上学習であっても手を動かすことで飛躍的に進歩できる領域であることは間違いないでしょう。

一度、そういうキャッチコピーに関心を持つと、新聞・雑誌の広告、チラシ、電車の中吊りなどが、偉大なワークブックに変わります。週刊誌に載っている広告を前にして、「これは上手い切り口だ」「そこまで言うか」など身近な材料を使った模擬演習ができる仕組みです。これを継続してゆくと、やがて「自分も使ってみたい表現」を、あれこれ採取しては、貯金して増やしてゆくことが始まるはずです。

もちろん(医療用)医薬品ですから、使う際には一定の許容範囲はあるのだと考えて進めるべきかもしれません。しかし、そうした制約から一旦、自分の考えを解放して、ブレインワークとして、色々な可能性をもった候補作品を作り出す作業自体は繰り返しになりますが、マーケターの感度を磨く意味でも貴重です。

こんな事に気がついて、ここ何カ月かに私自身が「貯金してきた」もの、それはマーケターが施策や関連情報をMRあてに発信する際のタイトル部分の候補になりますが、それをここでみなさんにたたき台として披露することにします。これにもっと入念に手を入れて「うなるような表現」をみなさんが見つけて活用頂けたら、社内マーケティングの一歩も動き出しますね。

■一歩抜きんでる○○活用のコツ
■「今さら○○なんて」とあきらめる前に
■忙しいMRの頼もしい味方! 必須○○
■トップMRが考えだした△△できる○○
■完全保存版 これで私も○○通に!
■信頼度アップ ○○○データ紹介時の背景知識ABC
■エリアNo1を目指すあなたに!
■×××オンチにならない 予防と対策A to Z
■その他大勢から抜け出すMRはここが違う 今注目の○○
■失敗しない○○対策 5つのチェックポイント
■30分で復習する プチ○○対策
■誰もが知っているのに、忘れていること
■○○が今日から楽しくなる、4つの原則と7つの習慣
■△△をねらうプロフェッショナルMRが忘れてはいけない5つの心構え
■「○○の達人になる」
■○○の組み合わせで、もう一度△△の力を再生させる
■○○がうまく完了する3つの秘訣
■ワンランク上の△△を目指す、○○実行4つのヒント
■今日から実行 頑張らない○○ わたし流
■まだまだ△△だと思っていると乗り遅れます。知ってますか?○○を増やす3箇条
■読むだけで別人! 
■3年連続達成の△△には秘密がある
■診断テストでチェック!あなたはどのタイプ?-あなたに合った無理をしない○○法は
■今の待ち時間の使い方が変わる!
■「他人ごとではない」 あなたの○○は万全ですか?
■知らなきゃ損する、○○新常識
■○○を10倍楽しむ、とっておきの△△
■中堅MRのための○○○トラブル解消講
■"ウマイ"と言われる△△の仕方、チェックポイントはこの4つ
■「大会社なんだね」ってお客様に皮肉を言われないために
■△△のトラブル 119番
■頑張らないで○○を育てる
■△△紹介時に起こしやすい「失敗ランキング」トップ5
■気づいたら出来ていた。私の○○取り組み法教えます
■○○説明会開催の賢者5人に聞きました。開催のノウハウと準備の全て
■あなたのエリアプランを7週間でよみがえらせる
■こんなMRは要注意 ××を起こしやすい3タイプ
■××の悩みが消える3つのヒント

健康食品や化粧品などに出て来るフレーズからの引用が多いことに気がつかれたことと思います。

正直に言うと、このようなフレーズが社内でどこまで使えるかに関しては不明ですし、その効果も確証はありません。(特に医薬の場面で)
ですから、ここに挙げた例は、考えようによっては実に瑣末なものの羅列であるかもしれません。

ここで言いたかったことは、冒頭での言葉通り、マーケターとしての「忘れもの」に気付くことにあります。

自分の立てたプランや伝えたい情報を、受け取る側のMRの身になって、どうやったらワクワクして取り組んでもらえるかと工夫をするサービス精神は、いつの状況でも持ち続けたいものです。そうしたサービス精神は、結局深いところでマーケティングの心と通じているように思えるからです。
 つまるところ、マーケティングの面白さというのは、こうした「応用問題」を手探りで解いて実践してゆくことにあるのではないでしょうか。

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